コンタクトの汚れがアレルギーの原因に?症状と対策を紹介
眼科医 杉田征一郎 先生

監修
眼科医 杉田征一郎 先生

愛知県にある、医療法人社団同潤会 眼科杉田病院 副院長。日本眼科学会認定 眼科専門医。年間7,000件以上の手術件数を誇る同病院にて、全般的な眼科疾患の手術はもちろん、白内障、角膜移植、緑内障、網膜剥離など数多く執刀。創立100年以上変わることなく東海地方の患者さんの目を守るという強い思いをもち、最新の医療機器や設備を意欲的に取り入れ、さらなる診断や治療法の改善を日々心がけている。

コンタクトのケア方法を誤ると、コンタクトに付着した汚れが残るため、アレルギー症状や目のトラブルを引き起こすことがあります。そこでこの記事では、コンタクトの汚れによって引き起こされるアレルギーの症状とはどんなものなのかをチェックします。また、注意点だけでなく、目にトラブルが起きた場合の対処法についても紹介します。

コンタクトの汚れで起こるアレルギー症状

目がかゆい女性
コンタクトを装着していると、次のような目のトラブルが起こることがあります。
  • かゆみや充血がある
  • 目がゴロゴロする
  • いつもより目やにが増える
これらは「アレルギー性結膜炎」による症状の可能性があります。

アレルギー性結膜炎とは

アレルギー性結膜炎は、アレルゲンと呼ばれるアレルギーを引き起こす物質が、目の表面に付着することで起こる目の不調です。アレルゲンとなるのは、花粉やハウスダストなどです。
またコンタクトを使用している場合では、誤ったケア方法によりレンズに付着したタンパク汚れが変性し、それがアレルゲンとなり目にアレルギー症状を引き起こすことがあります。
アレルギー反応が起こると、「ヒスタミン」と言う物質などが過剰に放出され、目の知覚神経や毛細血管を刺激します。それによって、かゆみや充血、目やになどの症状が出てくるのです。
このような症状をそのまま放置してしまうと、症状が悪化したり、かゆみにより目をこすりすぎてしまい、さらなる症状の悪化を招き、角膜を傷つける危険性もあります。

症状例① かゆみや充血がある

アレルギー性結膜炎にかかると、まぶたの裏側と白目の部分を覆っている「結膜」に炎症が起きます。この炎症が、かゆみや充血という症状として表れます。

症状例② 目がゴロゴロする

目がゴロゴロする感覚は、アレルギー性結膜炎などにより角膜や結膜が炎症を起こしたときによく起こります。この感覚はアレルギー性結膜炎による炎症に特有の症状ではなく、コンタクトなどの異物によっても起こる症状であるため、何が原因かを知るためにも、眼科を受診することがおすすめです。

症状例③ いつもより目やにが増える

アレルギー反応によって、目やにの量が増えやすくなります。目やにの原因によって色や量なども異なりますが、アレルギー性結膜炎では透明から白色の目やにがみられます。

コンタクトの汚れなどによるアレルギー症状の原因

目に違和感をおぼえて触っている女性
アレルギー性結膜炎は、コンタクトの汚れなどによって発症することがあります。
どんなものが原因となるのか、見てみましょう。

原因① レンズの汚れ

コンタクトには、指先の汚れや雑菌、涙液に含まれるタンパク質、ホコリ、化粧品、さらにはタバコの煙まで、目では確認できないものも含め、さまざまな汚れが付着しています。特にコンタクトに付着したタンパク汚れは、時間の経過とともに変質し、アレルゲンになることがあります。
コンタクトの中でも連続装着する2WEEKや1MONTHのタイプでは、毎日のケアを怠るとアレルギー性結膜炎の発症の可能性を高めてしまうことがあります。

原因② 花粉やハウスダスト

花粉やハウスダストの影響でアレルギー症状を引き起こすことがあります。花粉が原因の場合は、いわゆる「花粉症」で季節性アレルギー性結膜炎とも言われます。花粉やハウスダストはコンタクトにも付着するので、コンタクトの装着中に症状が悪化することがあります。

【番外編】ケア用品や目薬に含まれる防腐剤も原因に?

コンタクトのケア用品や目薬には、製品の品質を一定期間保つ目的で、防腐剤が含まれています。人によってはこの防腐剤が原因で、目にアレルギー症状を引き起こすこともあります。

コンタクトの汚れなどが原因でアレルギーが起こったときの対処法

目薬を差す女性
アレルギー症状がみられる場合、コンタクトを装着し続けると悪化してしまう可能性もあります。アレルギー性結膜炎は目薬で改善を図れることもあるので、気になる症状が出たら早めに眼科を受診しましょう。

目薬を使用する、必要に応じて眼科を受診する

アレルギー性結膜炎は、かゆみなどの症状を軽くすることが主な治療となり、抗アレルギー点眼薬が主に使われます。抗アレルギー点眼薬だけで症状のコントロールが難しいときは、低濃度のステロイド点眼薬を使用する場合もあります。

症状が改善するまでコンタクトの使用を控える

コンタクトを使用しているときに、アレルギー性結膜炎のような症状が出てきた場合は、できるだけコンタクトを外すことをおすすめします。コンタクトに花粉や目やにが付くと、症状悪化の原因になるためです。コンタクトの使用を控えた後に症状が改善したら、まずは1DAYタイプのものからの使用を検討してみてください。

かゆみがあっても目をこすらない

目にかゆみを感じたときに手でこすると、角膜や結膜を傷つけてしまうおそれがあります。我慢できないときは、次のようなことを試みてください。

目を冷やす
目元を軽く冷やすと、かゆみが和らぐことがあります。しかし、目を冷やしすぎると涙の分泌に影響がでるので、冷やしすぎに注意しましょう。清潔なタオルを水で濡らし、よく絞ってから目に当てるのが適しています。

人工涙液タイプの目薬を使う
目のかゆみを抑えるには、人工涙液タイプの目薬でアレルゲンを流すのもおすすめです。ただ、目薬に含まれている防腐剤は、目を傷めることもあります。気になる方は、防腐剤が含まれていない人工涙液を探してみると良いでしょう。

コンタクトの汚れなどが原因で起こるアレルギーの注意点

問診票のイメージ画像
コンタクトに関わるアレルギー対策には、正しいケアや定期的な眼科の受診が欠かせません。定期的に目の状態をチェックしてもらい、目の健康をしっかり守りましょう。

コンタクトをケアし、清潔に保つ

コンタクトのケアは決して手を抜かず、正しく毎日行うことが大切です。まずは手を洗い、清潔な手でケアしましょう。
ソフトコンタクトの洗浄や保存には、決して水道水は使用せず、専用のケア用品を使用してください。ケア用品は主に、次の3タイプがあります。
ケア用品のタイプ 特徴
MPS(マルチパーパスソリューション) 1本で洗浄・すすぎ・消毒・保存ができるが、消毒できる菌は少ないため、レンズのこすり洗いなどの手入れが必要。
過酸化水素タイプ 消毒に特化した洗浄液。消毒後は中和が必要。中和後に長期保存はできない。
ポビドンヨード系タイプ 消毒に特化した洗浄液。消毒後は中和が必要。ヨウ素にアレルギーがある人は使用できない。
スクロールできます
いずれのタイプも、使用前に説明書をよく読んで正しくケアしましょう。医師から指導されたケア用品を使用し、ケア用品を変える場合は、眼科医に相談してください。
また忘れがちなのが、レンズケースを清潔に保つことです。流水で毎日こすり洗いをし、完全に乾燥させましょう。

定期的に眼科を受診する

かゆみなどの症状がなくなっても、目の状態を診てもらうため定期的に眼科を受診しましょう。目の状態によって、コンタクトの正しい取り扱いができているかを知るきっかけにもなります。

日頃からコンタクトのケアを心がけ、コンタクトの汚れなどによるアレルギー症状に注意しよう

コンタクトケア用品
コンタクトの装着によって、その汚れが原因となりアレルギー症状が出ることがあります。症状の程度によっては、コンタクトを1DAYタイプに変える、装着時間を減らす、また装着自体を控えるなど、アレルゲンに接触する頻度を減らす必要性も出てきます。そうなる前に、日頃のコンタクトのケアをしっかり行いましょう。
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