糖尿病網膜症とは、糖尿病の三大合併症の一つで、日本人成人の失明原因の上位に挙げられている病気です。糖尿病になると、高い血糖のために細い血管が詰まったり傷ついたりし、やがてそれらの血管から出血するようになります(単純糖尿病網膜症)。その状態がひどくなると、網膜に十分な血液が行きわたらなくなり、網膜が酸欠状態になります(増殖前糖尿病網膜症)。そして、網膜の酸欠状態が続くと、新たな血管が網膜表面や硝子体に延びてきます(増殖糖尿病網膜症)。しかし、この新たな血管は非常にもろく、簡単に出血を起こしてしまいます。この出血が網膜剥離(もうまくはくり)につながり、やがて失明に至るのです。糖尿病網膜症はほとんど自覚症状はありません。糖尿病と診断されたら、血糖コントロールはもちろんのこと、定期的な目の検査も必要になります。進行した状態での目の症状としては、中心部分が暗く感じたり、ものが歪んで見えたり、視力低下を感じることがあります。
まずは眼科を受診し、正しい診断を受けることが大切です。
【監修】
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【監修】
社会医療法人生長会 府中病院 府中アイセンター センター長
下村 嘉一先生<専門分野>
角膜疾患、眼感染症、角膜移植、眼科レーザー学 難治性角膜疾患に対する治療
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<略歴>
1977年 大阪大学医学部卒業
1981年 ジョージア医大講師
1993年 大阪大学眼科講師
1999年 近畿大学眼科主任教授
2009年 近畿大学医学部堺病院院長
2012年 近畿大学大学院医学研究科長
2018年 近畿大学名誉教授
2018年 社会医療法人生長会 眼科統括診療部 眼科統括部長
2019年 社会医療法人生長会 府中病院 府中アイセンター センター長
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<資格等>
日本眼科学会名誉会員・指導医・専門医
前大阪アイバンク理事長
前日本コンタクトレンズ学会理事長
元日本眼感染症学会理事長
元日本角膜学会理事長
2007年 日本眼科学会会長
2016年 Peter Halberg Lecture 受賞(世界眼科学会)
<その他>
好きな言葉は「温故知新」
趣味はリラクゼーションと読書