まぶたと瞬膜について

  • まぶたは上まぶた、下まぶたからなります。目の周りの筋肉により上下のまぶたを動かすことで瞬きをします。瞬きには眼球の保護・異物を取り除く・涙を眼球全体に行き渡らす・涙を排泄するなどの役割があります。まぶたの中にはマイバム(脂)を分泌するマイボーム腺が多数あります。マイバムは結膜とまぶたの皮膚との境目から分泌され、涙を目に留まらせる・涙の蒸発を防ぐ・涙液層を安定にする働きがあります。
    犬猫を含む多くの動物には、瞬膜(第三のまぶた)と呼ばれる膜が目頭側の眼球とまぶたの間にあります。瞬膜は、角膜を保護する働きがあり、瞬膜の中にある瞬膜腺からは涙が分泌されます。

  • 犬の目の正面図(イメージ)
    犬の目の正面図(イメージ)

まぶたの炎症

  • ・眼瞼炎:まぶたの炎症で、細菌・真菌・寄生虫感染・アレルギー・マイボーム腺の異常などによって起こります。
  • ・麦粒腫:まぶたの縁にあるモル腺・ツァイス腺やマイボーム腺に細菌が感染することで起こります。
  • ・霰粒腫:マイボーム腺の内容物が固くなり、詰まることで起こります。

治療方法は、細菌感染が原因の場合には抗菌薬を使用します。また、炎症を抑えるために、抗炎症薬を使用することもあります。霰粒腫の場合は、マイボーム腺に詰まっている脂を絞り出す・まぶたを温め脂を柔らかくして排出を促す・手術で内容物を取り除くなどの治療があります。

  • 眼瞼炎(犬)
    眼瞼炎(犬)
  • 眼瞼炎(猫)
    眼瞼炎(猫)
  • 麦粒腫(犬)
    麦粒腫(犬)
  • 霰粒腫(犬)
    霰粒腫(犬)
  • 霰粒腫(犬)

まぶたが関係する病気

  • ・眼瞼内反症:まぶたが内側に反転することで、まぶたの皮膚や被毛が角膜を刺激します。そのため涙が多くなる・目やに・まぶたの痙攣などの症状がみられます。
    治療は手術によって余分な皮膚を取り除き、内側に向いているまぶたの縁を外側に向けます。
  • ・眼瞼外反症:まぶたの縁が外側にめくれることで、異物を取り除く、涙を眼球全体に行き渡らすなどの瞬きの働きが不十分となります。そのため充血・涙があふれる・目やになどの症状がみられます。下まぶたに多くみられます。
    症状が軽い場合には点眼薬による治療となりますが、重症になると外科的治療が必要となります。
  • 眼瞼内反症 左眼(猫)
    眼瞼内反症 左眼(猫)
  • 眼瞼内反症(犬)
    眼瞼内反症(犬)
  • 眼瞼外反症(犬)
    眼瞼外反症(犬)

瞬膜(第三のまぶた)の病気

瞬膜腺脱出(チェリーアイ):瞬膜にある軟骨を繋ぎとめる組織が弱くなることで、瞬膜腺が飛び出してくると考えられています。短頭種では眼球が収まっている窪み(眼窩)が浅いので、瞬膜が圧迫されることで飛び出すこともあります。治療方法は外科的手術により瞬膜を元の位置に戻すなどです。

  • 瞬膜腺脱出 右眼(犬)
    瞬膜腺脱出 右眼(犬)

まつ毛が関係する病気

まつ毛の生え方、生える場所によって3種類に分けることができます。まつ毛の向き・長さ・硬さによっては目の表面を刺激しますので、涙が多くなる・充血・角膜が傷つく・まぶたが痙攣するなどの症状がみられます。
治療方法はまつ毛を抜く、毛穴(毛包)を取り除くなどです。

まつ毛の生え方の違い(イメージ)

  • 睫毛乱生
    睫毛乱生
  • 睫毛重生
    睫毛重生
  • 異所性睫毛
    異所性睫毛
  • ・睫毛乱生(しょうもうらんせい):まつ毛は正常な場所から生えますが、まつ毛が角膜に向かって伸びることで目の表面を刺激します。
  • ・睫毛重生(しょうもうじゅうせい):マイボーム腺からまつ毛が生えます。まつ毛が短くて角膜に触れていなければ、治療の必要が無い場合もあります。
  • ・異所性睫毛(いしょせいしょうもう):眼瞼結膜からまつ毛が生えます。絶えずまつ毛が目の表面を刺激します。
異所性睫毛(犬)
異所性睫毛(犬)